広報誌HOPE Plus

芦屋病院コラム

高齢の方にも安心・安全な手術治療を目指した当院の取り組み

外科 野呂 浩史

高齢化に伴い、癌をはじめとした外科手術は高齢の方の割合が多くなっています。高齢の方は複数の持病を持っていたり、栄養不良や筋力低下などによって、術後合併症が増加する傾向があります。手術リスクの低減と退院後の生活機能維持のために、きめ細かい対応が必要です。

当院では、80歳以上の高齢の方にも安全で安心して手術を受けて頂ける体制をとっています。
手術前に全身状態・栄養学的評価を詳細に行い、栄養不足や筋力低下がある場合は2~3週間の術前リハビリ・栄養補助管理を実施して良いコンディションで手術日を迎えられるように計画します。栄養剤の飲用からカテーテルを用いた高カロリー輸液まで、積極的な改善を図っています。

また手術は負担の少ない腹腔鏡手術によって傷を小さく、術後の痛みを軽減、早期離床・リハビリへつながりやすいようにしています。特に術後の食事への影響が大きい胃癌手術は、吻合(切除後に食物の通り道を作り直す)に、機能性にも拘った方法を導入して、つかえ感や逆流症状ができるだけ生じないように工夫しています。

術後リハビリは単純に「頑張る」のではなく十分な鎮痛や栄養補助によって効率よく回復できるようにしています。単純な点滴のみで十分なエネルギーや蛋白(アミノ酸)を補充しないと毎日相当量の筋肉を失います。栄養剤や高カロリー輸液、時には一時的に胃瘻・腸瘻なども用いて、十分手厚い栄養補助を行い、退院後の生活機能維持まで見据えた栄養管理をしています。一度お気軽にご相談ください。

上腕の栄養用カテーテル

手術の様子

術後6か月の腹部