芦屋病院コラム
喫煙と体への影響
~ 今からでも遅くない、禁煙とメリットについて ~
呼吸器内科 宮﨑 慶宗
喫煙が体に及ぼす影響
日本人の死因は悪性新生物(がんなどの悪性腫瘍)、心疾患、老衰、脳血管疾患の順となっています。厚生労働省による日本人を対象にした研究報告では、がんと喫煙の因果関係が明らかなものとして、鼻腔・副鼻腔がん、口腔・咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、胃がん、膵臓がん、子宮頸がん、膀胱がんを挙げており、1日の喫煙本数が多い人ほどがんになりやすいとされています。
悪性新生物による死亡数を部位別にみると、肺がんは男性で1位、女性で2位となっています。タバコに含まれる発がん物質の影響で、喫煙者の肺がん発生リスクは非喫煙者と比較し、4~5倍に上昇すると報告されています。
最近では従来の紙巻きタバコよりも加熱式タバコ(アイコスなど)の方が有害性が少ない、がんになりにくいという認識が広がっていることもありますが、加熱式タバコも発がん物質等の有害物が含まれており、がんのリスクになります。
がん以外の病気との関係
喫煙はがんだけでなく、タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素により狭心症や心筋梗塞、脳血管障害(脳卒中)も発症しやすくなるため注意が必要です。
それ以外にタバコとの因果関係がある病気としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)で息切れや咳・痰が出たり、喘息の素因のある人が喫煙すると喘息発作を起こし、そのまま喫煙を続けていくと適切な治療を行っても症状が改善しにくい難治性喘息に発展していくことがあります。糖尿病も喫煙と因果関係があるといわれており、喫煙により交感神経が刺激され血糖が上昇したり、体内での血糖を下げるホルモンであるインスリンの効果が減弱し血糖上昇に繋がります。また喫煙をしている方は男女ともに不妊・流産リスクが上昇するため、挙児希望があるカップルの方はともに禁煙されることを強くおすすめします。
受動喫煙による周囲への影響
タバコから出る副流煙には、喫煙者の吸う主流煙よりも多くの有害物質が含まれているため、受動喫煙をした周りの人にも同様の病気になるリスクがあります。自力で禁煙することが困難な場合には禁煙外来を行っているクリニックもありますのでご自身やご家族の健康のため是非ご検討ください。
タバコを吸わずに美味しい空気を一緒に吸いましょう!
<禁煙をするメリット>
- 思い立ったその日からタバコをやめることで、将来がんや心筋梗塞、脳卒中になるリスクを下げることができます。また呼吸機能の低下の進行を防ぎ、将来在宅酸素療法が必要になる可能性を減らすことができます。
- 味覚が改善し、食事がおいしく感じられ、毎日の食事が楽しみになります。
- タバコの影響で咳や痰が出ている方は、禁煙することで日々困っている咳や痰症状が改善・消失する可能性があります。
- 家庭内での受動喫煙を減らし、一緒に住んでいる家族を病気から守ることができます。
- 喫煙習慣をなくすことで貯蓄も増え、趣味や日々のご褒美にお金を回すことができます。