広報誌HOPE Plus

芦屋病院コラム

心の健康について

公認心理士・臨床心理士 菅野 絵里子

4月は進学や異動など、環境の変化が多い季節です。新しい出会いに心が弾む一方で、知らず知らずのうちに緊張が続き、心身に負担がかかることがあります。疲れが溜まってくると、不眠や気分の落ち込み、イライラ、食欲低下などの症状があらわれることがあります。これらは弱さではなく、環境に適応しようとする自然な反応であり、心からのサインかもしれません。

心の健康を保つためには、こうした小さなサインに早めに気づき、休息をとることが大切です。「これぐらい大丈夫」と無理を重ねず、誰かに話すことも回復への一歩になります。心と身体はつながっています。頑張り過ぎず、「7割くらいでちょうどよい」と考えることも心身の安定につながります。

生きていく上で、ストレスを完全になくすことは難しいものです。大切なのは、ストレスにどのように対処していくかです。ストレスに対処するためにとる行動を、心理学では「コーピング」と呼びます。

休息をとることや、誰かに話すこともコーピングの一つです。ほかにも、音楽を聴く、散歩をする、釣りに行く、映画を観る、スポーツをする、美味しいものを食べるなど、自分がリラックスできる時間や楽しいと感じられる時間を持つことも立派なコーピングです。コーピングに「これが正しい」という決まった形はありません。自分に合った方法を見つけることがポイントです。

心が健康な人とは、ストレスにうまく対処できる人です。コーピングを身につけることは、心の健康を保つためにも役立ちます。

休息しても疲れがとれないときや、これまで楽しめていた趣味を楽しいと感じられなくなったとき、不眠や食欲低下、気持ちの落ち込みが続くときは、一人で抱え込まず専門家に相談することも大切です。無理のない範囲で、心と身体を労わりながら過ごしていきましょう。

なお、当院には精神科外来はありませんが、心の不調を感じたときは、お近くの精神科・心療内科クリニックなどの医療機関で相談することも一つの方法です。