広報誌HOPE Plus

事業管理者のつぶやき

Chapter19. 蛍光灯

市立芦屋病院 事業管理者 佐治 文隆

エコロジーは21世紀のキーワードのひとつですが、エコを推進する技術としてLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)がもてはやされています。消費電力が驚異的にわずかでしかも寿命も長い電灯として、通常の照明はもとより、液晶テレビのバックライト等、いろいろな分野で使用が推進されています。グリーンでクリーンなエコ・ホスピタルを目指して新築中の芦屋病院でも、予算の許すかぎりLED電球の採用を考えています。近い将来には、すべての電灯がLEDに取って代わる時代が来るでしょうし、その変化は白熱灯が蛍光灯に変わったときよりも、もっと劇的だと予測されます。

イニシアルコストが安いにもかかわらず、今や風前の灯の蛍光灯ですが、わが国では20世紀半ばから愛用されてきました。一般家庭でもっとも普及した蛍光灯は、グロースタータ(点灯管)を持つタイプで、点灯に約3秒かかるのはご存じの通りです。最近では電子スタートやラピッドスタートなどの新方式で、ほとんど瞬時に点灯するタイプが主流です。この変化は、「○○さんは蛍光灯だ」などという言葉を駆逐しました。ある世代以下には、「蛍光灯」が「気付くのが遅い」「鈍い」などの侮りが込められていることが通じなくなっています。

日用品メーカーの花王株式会社は、押しも押されぬ日本のトップメーカーです。1890年に前身の長瀬商店が売り出した「花王石鹸」がヒットし、120年の歴史を持つブランド名が社名になっています。当時の高級洗顔石鹸「花王」は、「顔(KAO)」を洗うに通じることから命名されたそうです。「花王石鹸」と言えば月のマークがシンボルで、あの三日月顔は創製当時から使用されているそうです。このブランドマークも男顔から女顔へ、右向きから左向きにと、長い歴史の間で微妙に変化しています。「△△さんは花王石鹸ね」の表現は、若い世代に通じるでしょうか。あのしゃくれた顔だと判る年齢層は、かなり高いと思われます。当院事務部門の二十代、三十代には理解出来ませんでした。

「グループサウンズ」「アベック」「ナウい」など、仮に意味が判ってもらえても、「古い」とバカにされる言葉は掃いて捨てるほどあります。逆に「ら抜き言葉」のように、新しく定着したものもあり、「言葉は世につれ、世は言葉につれ」変遷していきます(「歌は世につれ世は歌につれ」のモジリも古いか!)。近頃の若者言葉「やばい」に至っては、例え「先生って、マジやばいっす」と言われても、褒められた気分にはなれません。私が気になってならないのは、新聞の見出しのダジャレです。とくにスポーツ紙は連日ダジャレの連発です。一般紙でも、タイガース打線がドラゴンズのチェン投手に抑えられた翌日の見出しが「虎チェン黙」。沈黙のダジャレにしてもひどいと思いませんか? そのうち、サッカーで「ふザッケローニ監督」が見出しに登場するような気がしてなりません。芸能欄やスポーツ欄ならまだしも、民主党代表選の報道では「菅」勝(完勝)の見出しが一面に躍りました。政治部記者の見識がスポーツ担当記者なみなのか、所詮日本の政治はプロ野球なみと皮肉っているのかと、勘ぐりたくなります。

言葉はヒトがもつ重要なコミュニケーションツールです。時代とともに変遷するのは当然としても、言葉そのものをもっと大事にしないと、人間の品位まで落ちてしまわないかと危惧します。

(2011.2.1)