広報誌HOPE Plus

事業管理者のつぶやき

Chapter141.ジルヴェスター NEW

市立芦屋病院事業管理者 佐治 文隆

コロナ禍で激動の令和2年でしたが、年度末を迎えようとしています。昨春の緊急事態宣言で全国の学校が一斉休校した時には、この機会に欧米に倣って新年度を4月から9月に変更しようという議論も起こりましたが、今はすっかり影を潜めました。今月は学校に限らず、官公庁そして多くの企業においても会計年度末のため、決算などの作業に追われます。通信販売や宅配業などコロナ禍で売り上げを伸ばした企業もありますが、外食・小売企業、観光業、各種興行界は軒並み赤字決算に苦しんでいます。医療界も受診抑制による患者数減少など厳しい経営状況です。しかしコロナ禍にあっても使命を全うする医療従事者の献身的な努力が再認識されたのは、私達にとって不幸中の幸いでもありました。

暦年における年末はもちろん12月で、大晦日の31日にはいろいろな行事が行われます。ドイツ語で大晦日を意味するジルヴェスター(Silvester)を冠につけたジルヴェスター・コンサートもその一つで、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・フィルハーモニー管弦楽団など著名楽団も例外なく開催しています。とくにウィーン・フィルのそれは、世界中に放送されるニューイヤー・コンサートの最終練習(ゲネラルプローべ)としてウィーン楽友会館大ホールで行われます。日本でもいくつかの管弦楽団がそれぞれホーム会場で大晦日にジルヴェスター・コンサートと名付けてクラシック・コンサートを行っており、コロナ禍の2020年末でも開催されました。

兵庫県立芸術文化センター管弦楽団はジルヴェスター・コンサート2020「魅惑のオペレッタ・ガラ!」を角田鋼亮指揮のもとに行いました。ウインナ・オペレッタ「銀の時代」を代表するフランツ・レハール、エメリッヒ・カールマンの作曲したオペレッタを中心に、 ホイベルガー、ジーツインスキー、モンティに加えてヨハン・シュトラウス2世、ブラームスの作品など盛り沢山です。2021年夏に予定される恒例の佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2021「メリー・ウィドウ」(フランツ・レハール作曲)から何曲もが第一部、第二部を通して演じられました。しかも歌唱を担当した5人の歌手のうち、髙橋 維、晴 雅彦のお二人は、今夏の「メリー・ウィドウ」でもそれぞれソプラノ、バリトン歌手として出演予定だそうです。オペラと異なり肩の凝らないオペレッタが主体で、「チャールダーシュ」や「ハンガリー舞曲」などポピュラーな曲も演奏され、時を忘れて楽しむことが出来ました。

ジルヴェスター・コンサートに先立つ1ヶ月間は毎年「HYOGOクリスマス・ジャズ・フェティバル」で、2020年は5公演がありました。そのうちヴォーカルケイコ・リーの「魅惑のスモーキー・ヴォイス」と「アロージャズオーケストラ&寺井尚子「華麗なるスィング&情熱のジャズ・ヴァイオリン」の2公演に行くことが出来ました。ケイコ・リーは年明けのNHK・BS番組で玉置浩二と共演、デビュー曲「イマジン」を唄っていましたが、本公演でも聴くことができました。アロージャズオーケストラは今さら説明するまでもない大阪発祥で60年以上の伝統を持つ名門ビッグバンドです。今回はジャズ・ヴァイオリンとの組み合わせで一味加わった演奏を聴くことができました。ジャズそのものはアメリカ・ニューオーリンズで生まれた音楽ですが、神戸は国内初の日本人ジャズバンドが結成されたこともあり、日本のジャズ発祥の地として知られています。神戸市内にはいくつものジャズ・ライブ・スポットもあり、ミナト神戸を盛り上げています。この「HYOGOクリスマス・ジャズ・フェティバル」もその流れを汲むと考えていいでしょう。
さて、ジルヴェスター・コンサートのお開きでは、観客一人ひとりが渡されたケミカルライトにあかりを灯し、オーケストラの演奏に合わせてうち振って、ゆく年くる年の感慨に耽りました。

(2021.3.1)